ニューヨークからのレポート ~元日本代表戦士たちのMLB戦記・青木宣親編~
文=Daisuke Sugiura
「青木宣親は第4回WBC出場に前向きで、アストロズも容認の方向」
2016年はマリナーズでプレーした青木に関し、日本国内では最近になってそんな報道がなされた。今オフにアストロズ移籍が発表された青木だが、まだ新天地との契約がはっきりしないため、本当に出場できるかは定かではない。ただ、もしも本当に参戦が決まれば、喜ぶファンは日本にも多いことだろう。
2012年に青木が太平洋を渡ってから、早くも5年―――。ブリュワーズでの最初の2年間は打率.280、出塁率.350、20盗塁という上質な数字をクリアし、5シーズンの平均打率も.286という安定した数字を残してきた。2014年にはロイヤルズの一員として、ワールドシリーズ進出に貢献した姿を覚えているファンも多いに違いない。
マリナーズでプレーした今季は118試合に出場し、打率.283、4本塁打、63得点。春先こそ極度の不振に悩み、マイナー落ちの屈辱も味わったが、8月以降は打率.355、OPS.925をマークした。34歳になった勝負師は、依然としてトップレベルでやれるだけの力を保っているとみて良さそうだ。
「ピッチャーにとって嫌なバッターにならないと。悪いながらも何とか粘って(三振しない)というのは良いですが、苦し紛れに当てにいったバッティングもあった。内容をもっと良くしていきたいですね」
メジャー入りから2年目が終わった後、青木がそんな話をしていたことがあった。そのときの誓い通り、今季も467打席で45三振とバットにボールを当てるうまさは健在。そんなコンタクトの能力は、WBCのような短期決戦の国際舞台でも重宝されるに違いない。
青木はWBCには2006年の第1回、2009年の第2回大会に出場した。特に第2回では全試合で3番打者として出場し、打率.324(37打数12安打)、7打点の活躍で大会ベストナインに選出された実績もある。
当時と比べ、守備、走塁には衰えも感じられるだけに、チームの柱的な働きを期待すべきではないのかもしれない。ただ、メジャーでの5年間で4チームに所属し、多くの経験を積んだサムライのスキルが生きる場面は必ずある。例えば得点圏に走者を置いた終盤イニングなどに、青木を打席に迎えたいピッチャーはいないだろう。
MLBでも毎年打率.280以上を残しながら、依然として過小評価されている感のある小柄な“プロフェッショナルヒッター”。その存在と実力を再びアピールするのに、アメリカ西海岸で行われる第4回WBC の決勝リーグ以上の舞台はないはずである。
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