激戦を勝ち抜きプエルトリコは連勝をキープ 2次ラウンドプールF総括
メジャーで活躍するスーパースターたちが各チームにひしめき、ハイレベルでの激戦が続いた2次ラウンドのプールF。その中で最高の輝きを放ったのは、大会開幕前の前評判はそれほど高くなかったプエルトリコだった。
現地時間3月15日のドミニカ共和国戦では3-1で投手戦を制し、2013年から続いていた前回王者のWBCでの連勝記録を11でストップ。続いて16日のアメリカ戦では初回に4点を先制すると、6-5での逃げ切り勝利で早くも決勝ラウンド進出を決めた。18日にはベネズエラを13-2 で蹴散らし、これで今大会では開幕から6連勝。通算51得点、15失点、チーム打率.330、チーム防御率2.25と見事な強さを発揮している。
特に印象的だったのはアメリカ戦の初回の攻撃だ。試合開始から6連打と相手の先発マーカス・ストローマンを火だるまにしたが、2番フランシスコ・リンドー、3番カルロス・コレア、4番カルロス・ベルトラン、5番ヤディーヤ・モリーナのヒットはすべてセンターから反対方向にはじき返したものだった。ベテランから若手が一丸となり、大舞台で無理のない攻めができるチームは強いはずである。
先発投手陣の薄さへの懸念は解消されておらず、決勝ラウンドでも序盤に大量失点する危険は常に残る。しかし、プールFのMVPにも輝いた大黒柱モリーナが正捕手として支えている限り、大きな心配は無用か。攻守が見事に噛み合ったプエルトリコに、WBC4度目の出場にして優勝への絶好機が到来したと言って良い。
そのプエルトリコには敗れたアメリカだったが、19日にはドミニカ共和国との大一番を6-3で制して息を吹き返した。2次ラウンドで敗退という惨敗を喫した第3回の雪辱を晴らし、2009年以来の決勝ラウンド進出。1次ラウンドのカナダ戦以外はすべて3点差以内という接戦続きだが、苦しい戦いを勝ち抜くことによって、少しずつ勢いと連帯感が生まれているようにも見える。
特にドミニカ共和国戦では、これまで不振に悩んでいたジャンカルロ・スタントンが勝ち越し2点本塁打、アンドリュー・マッカッチェンが2点二塁打。チームリーダーのアダム・ジョーンズも、ドミニカのマニー・マチャドが放った打球をフェンス越えでキャッチする超美技でチームをもり立てた。彼らがクリスチャン・イエリッチ(6試合で20打数7安打)、ブランドン・クロフォード(6試合で18打数8安打)、エリック・ホズマー(6試合で21打数8安打)といった好調の選手たちと上手く噛み合えば、今後の見通しは明るい。
盛んに指摘されている通り、多くのスーパースターが参加していないアメリカ代表は最強メンバーではないのだろう。例えそうだとしても、集まった選手たちが過去以上のプライドを胸にプレーしているのは間違いない。だとすれば、野球王国が決勝ラウンドで日本、プエルトリコ、オランダを倒し、頂点に立つ可能性は十分に思えてくる。
1次ラウンドでは3連勝と強さを見せたドミニカ共和国は、プエルトリコ、アメリカに敗れて惜しくも敗退が決まった。敗因は3試合で7得点のみと、自慢の打線が振るわなかったこと。中でも追い上げムードだったアメリカ戦の7回、マチャドの大飛球がジョーンズに好捕されてしまったことはまさに痛恨だった。ただ、率直に言って、彼らに戦力面で何か足りない部分があったとは思わない。前回王者のこの時点での敗退は、一発勝負の怖さ、それゆえの面白さを改めて示したと言って良い。
イタリアとのプレーオフの末に1次ラウンドを突破したベネズエラは、2次ラウンドでは3連敗と良いところがなかった。投手陣が全体に誤算で、今大会のチーム防御率が7.39では上位進出は望むべくもない。16日のアメリカ戦ではエースのフェリックス・ヘルナンデスが5回無失点と好投したが、交代後にリリーフが打たれて霧散。野手はミゲール・カブレラ、ホゼ・アルチューベなどのタレントを数多く擁していたにも関わらず、投壊ゆえにリズムに乗れなかったのは残念だった。
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