プエルトリコとベネズエラが2次ラウンド進出 1次ラウンドプールD総括
開幕戦でライバルのベネズエラに圧勝、3戦3勝、合計29得点・・・優勝候補の下馬評通り、プールDではプエルトリコが圧倒的な強さを誇示した。カルロス・ベルトラン(3試合で9打数5安打4打点)がリーダーを務める打線は迫力満点。フランシスコ・リンドー(同11打数5安打2本塁打)、カルロス・コレア(同9打数2安打2本塁打)、ハビアー・バエス(同14打数5安打1本塁打)のダイナミックトリオは、3試合で合計5本塁打を放って気を吐いた。
どこからでも長打が飛び出すオフェンスだけでなく、1次リーグでは守備の良さも目立った。コレア三塁手、リンドー遊撃手、バエス二塁手は、揃って本来はショートストップを務められるほどの名手たち。捕手にはヤディーヤ・モリーナ、ロベルト・ペレス、外野にはレイモンド・フエンテス、エディー・ロサリオと人材が揃っており、ディフェンス力では紛れもなく今大会トップクラスだろう。
もちろんどんな打線でもこれほどのペースで打ち続けられるものではなく、相手レベルも上がる2次リーグ以降はクールダウンは避けられまい。また、セス・ルーゴ、ホルヘ・ロペスが中心の先発投手陣も少々心許ない。それでもベルトラン、モリーナといった尊敬されるベテランがリーダーシップを供給し、守備もしっかりしているのであれば、プエルトリコがそう簡単に崩れるとは思えない。絶好調のスター軍団は、2次リーグでも脅威の存在であり続けるはずだ。
そのプエルトリコには惨敗したベネズエラだったが、13日に行われたプレーオフに勝って、何とか2次リーグ進出を決めた。イタリアに1対2とリードされて迎えた9回表、ミゲール・カブレラの同点弾が中越えに飛び込んだ瞬間、母国のファンはほっと安堵したのではないか。カブレラ、ビクター・マルチネス、ホゼ・アルトゥーベ、カルロス・ゴンサレス、マーティン・プラド・・・これだけのスターを擁しながら、1次リーグ敗退という屈辱は免れることができたからだ。
2次リーグ以降の戦いを考えると、ベネズエラは依然として楽観はできまい。1次リーグ最初の3戦では先発のフェリックス・ヘルナンデス、マーティン・ペレス、ヤスメイロ・ペティットが合計9失点と乱調。抑えのK-ロッドことフランシスコ・ロドリゲスも2回1/3で3失点(自責点は1のみ)と精彩を欠いている。肝心の先発投手がこの状態では、ドミニカ共和国、アメリカ、プエルトリコといった強力打線と対戦する2次リーグでは苦戦は必至。まずはやはりエースの“キング・フェリックス”が復調し、勢いをつけてくれることを期待したいところか。
多くのイタリア系アメリカ人選手を揃えて奮闘したイタリアだったが、合計1勝3敗で惜しくも敗退となった。開幕戦ではメキシコ相手の逆転勝利で気勢を挙げただけに、以降の3連敗は痛恨。特にフランシスコ・セベリ、ダニエル・デスカルソ、ブランドン・ニーモといったメジャー組には悔しい結果だったことは想像に難くない。
1次リーグで最も悲劇的だったのがメキシコだ。10日のイタリア戦では4点をリードしながら、最終回に5点を奪われて悪夢の逆転サヨナラ負け。それでも12日にはベネズエラを11-9で破り、プレーオフ進出を決めたと伝えられた。しかし、13日早朝、順位決定の基準となる1イニングあたりの失点率の計算違いで、メキシコは実はイタリア、ベネズエラに劣っていたことが発覚。順位決定方法の認識違いに振りまわされる形で、翌日の一発勝負に意気込んでいたメキシコには敗退が告げられた。こんなドタバタ劇があっては、主砲エイドリアン・ゴンサレスが激怒したのも無理はない。そもそも分かり難いタイブレーカー制度は見直しが必要にも思え、“メキシコの悲劇”はその契機として記憶されることになるかもしれない。
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