目指すは世界一奪還 WBC出場侍ジャパン28選手を紹介

2017年2月24日 コラム

「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 」の開幕に向け強化合宿をスタートさせた侍ジャパン。日に日に高まる緊張感の中、チームとしての結束力を高めていく28名の選手を紹介します。

投手

10 松井 裕樹(東北楽天)

 若年代から代表のユニフォームに袖を通してきた黄金左腕。高卒2年目の2014年からチームの守護神として2年連続30セーブを達成。スライダー&チェンジアップで高い奪三振率を誇る。
 高校3年時に18歳以下の日本代表としてAAA世界選手権(U18ワールドカップ)に出場し、計3試合に先発して防御率1.80、27奪三振とエースとして活躍。侍ジャパントップチームには2015年3月の欧州代表戦で初選出され、3月12日の第2戦(東京ドーム)で代表デビュー。8回から4番手としてマウンドに上ると、いきなり右中間に2塁打を許し、暴投と犠牲フライで1失点のホロ苦デビュー。同年秋のプレミア12のメンバーにも選ばれて救援を任されたが、計4試合3イニングに登板して7安打2失点で三振は2つ。準決勝の韓国戦では3対1と2点リードながら無死満塁の大ピンチの場面で登板したが、押し出し四球を与えて流れを止められなかった。
 4試合で防御率6.00と悔しさを残したプレミア12以来の代表復帰。ボールの質、持てるポテンシャルは誰もが認める。この1年半の間にどこまで成長したのか。リベンジのマウンド。世界相手に自らの実力を見せ付ける。

11 菅野智之(読売)

 飽くなき向上心で進化を遂げてきた秀才右腕。昨季は防御率2.01で自身2度目の最優秀防御率のタイトルを獲得した。侍ジャパンでも先発の柱の一人として大きな期待を背負う。
 大学時代には2年時に日米大学野球やアジア選手権大会の日本代表メンバーに選出。プロ入り後に着実に実績を残し、2015年のプレミア12で侍ジャパントップチームデビュー。同大会では1次ラウンドの米国戦(4回2失点)、3位決定戦のメキシコ戦(3回1失点)と2試合に先発したが、ともに失点して反省の弁。直前のプエルトリコとの壮行試合も含めると3試合で計9イニングを投げて防御率4.00と納得の行くピッチングができなかった。
 だが、ここから菅野は進化する。屈辱の経験を糧として自らの投球に磨きをかけ、2016年3月の台湾戦では3イニングを1安打無失点、4奪三振の快投劇を披露。そして自身初のWBCへ向けても新球チェンジアップの習得に努めるなど余念がない。日の丸を背負い、エースの自覚を持って、世界舞台のマウンドに立つ。

12 秋吉 亮(東京ヤクルト)

 安定感抜群の変則右サイドハンド。昨季はシーズン途中から抑えとして2年連続70試合登板を果たした。WBCでも火消し役として期待したい。
 ヤクルトのリリーフとして名を上げて2016年3月の台湾戦で初の侍ジャパンメンバー入り。ナゴヤドームでの第1戦に8回から4番手として登板すると、切れ味鋭いストレートで3者連続三振の完璧デビュー。投手コーチに就任した権藤博氏からも強い推薦を受けて昨年11月のオランダ・メキシコとの強化試合にも選ばれると、計3イニングを無失点に抑えて3奪三振と安定した投球を披露。他の投手陣がWBC球への対応に苦しむ中、誰よりも早く順応し、自身の実力を存分に発揮して見せた。
 今年の春季キャンプでもWBC球を使っての調整を続けて準備万端。守護神構想もある中、日に日に評価と信頼度は高まるばかりだ。

14 則本 昂大(東北楽天)

 3年連続で最多奪三振王のタイトルを獲得したエース右腕。気迫を前面に押し出しながら力強いストレート&スライダーで打者をねじ伏せる。
 侍ジャパンには2014年11月の日米野球で初選出。第3戦に先発すると、2回に自己最速の155キロを記録するなど、5イニングを投げて被安打0の6奪三振。ノーヒット・ノーラン・リレーの立役者となり、「人生で最高のピッチングができました」と胸を張った。翌2015年秋のプレミア12ではリリーフでも登板。ただ、準決勝・韓国戦では8回から2番手で登板し、最初のイニングは3者凡退に抑えたが、続く9回は無死満塁のピンチを招いて降板。まさかの逆転負けを眼前に、唇を噛んだ。
 負けから学ぶものがある。リベンジへの強い想いを胸に、W BC仕様の新球カットボールも携えて臨む世界舞台。先発、中継ぎとフル回転するつもりだ。

15 宮西 尚生(北海道日本ハム)

 プロ入り以降9年連続で50試合に登板する信頼度抜群のリリーフ左腕。昨季、パ・リーグ初となる通算200ホールドを達成した。試合終盤の継投のカギを握る。
 関西学院大時代の2006年のインターコンチネンタルカップに出場すると、2007年の北京プレオリンピックの代表メンバーにも選出。プロ入り後は所属チームでは着実に実績を重ねる一方で日本代表のユニフォームとは無縁だったが、プレミア12を終えて中継ぎ&左腕強化を目論む小久保ジャパンの中で昨年11月のメキシコ・オランダとの強化試合で侍ジャパントップチームに初選出。メキシコとの第2戦に4番手として登板すると3人を計14球でピシャリ。続くオランダ戦でも打者2人を無安打に抑えて自らの実力を見せ付けた。
 今回のWBCにも18人の先行発表メンバーに名を連ねたことも、その信頼度の高さを証明している。春季キャンプでは初日から精力的にブルペン入り。早めの仕上げで万全の状態で大会に臨む。

17 藤浪 晋太郎(阪神)

 高校時代に春夏連覇を成し遂げた甲子園の申し子。高卒1年目から3年連続2ケタ勝利を達成。昨季は7勝に終わったが、その能力は折り紙付きだ。
 日の丸とも縁が深く、日本代表として中学3年時にAA世界大会に出場すると、高校3年時にはAAA世界野球選手権で計4試合に登板し、24回1/3を投げて防御率1.11の好成績を残して「オールスターチーム」に選出。2012年の18歳以下男子年間最優秀選手にも選ばれた。
 侍ジャパントップチームには、2014年11月の日米野球で初選出されると、第1戦に登板して2イニングを1安打無失点、3奪三振の堂々たるピッチングを披露。先発した第4戦では4回を5安打5奪三振ながら3ランを浴びるなど計4失点で降板した課題を残したが、続く15年3月の欧州代表戦にも選出。同年10月のプレミア12は右肩の炎症を理由に出場辞退という悔しさを味わったが、昨年11月のメキシコ・オランダとの強化試合でも登板。失点はしたが、この男の持つスケールの大きさには小久保監督も特大の期待を寄せ、今回のWBCメンバーにも名を連ねた。
 今年は春季キャンプ中の実戦で完璧なピッチングを続けて生まれ変わった姿を披露。準備は万端。大谷不在も、同期のライバル・藤浪が世界を牛耳ってみせる。

19 増井 浩俊(北海道日本ハム)

 日本一に貢献した快速右腕。150キロを超えるストレートとフォークが武器の守護神だが、今季はシーズン途中から先発としても結果を残した。第2先発の有力候補となる。
 侍ジャパンデビューは2015年11月のプレミア12。4試合に救援登板したが、プエルトリコ戦で1発を浴びるなど計4イニングを5安打3失点の防御率6.75と不満の残る結果となった。そのショックを引きずるように昨季のペナントレースでも序盤で救援失敗の場面が目立ったが、シーズン途中の8月から先発に転向すると2カ月足らずで7勝(計10勝)をマーク。本来の力強い姿を取り戻すとともに投手としての総合力をアップさせ、昨年11月の強化試合ではメキシコとの第2戦に2番手として登板して3回を2安打1失点。無失点とはいかなかったが、第2先発としての適性も十分に証明した。
 本人はリリーフへのこだわりが強く、新シーズンでは再び守護神に戻る予定。WBCでは中継ぎ、第2先発での登板が濃厚だが、状況次第では日本の守護神としてマウンドに上がる可能性もある。日本一の経験を世界奪還に繋げてもらいたい。

20 石川 歩(千葉ロッテ)

 昨季のパ・リーグ最優秀防御率投手。プロ入り以降3年連続で2ケタ勝利を挙げながら勝ち星も伸ばし、昨季は14勝(5敗)を挙げた。鋭く落ちるシンカーは外国人打者を封じ込める必殺の武器になる。
 これまでアマチュア時代を含めて日本代表には縁がなかったが、プロ入り後に年々の進化を経て、昨季のパフォーマンスが認められて小久保ジャパン入り。侍ジャパンデビューとなった昨年11月の強化試合では、12日のオランダ戦に先発して4回を6安打3失点。初回は3者凡退に抑えたが、2回に先頭打者に死球を与えてから2本のタイムリーを許すなど3失点。だが、3、4回は無失点に抑えて先発としては及第点の出来。試合以外のピッチング練習では首脳陣から改めてボールの質の高さ、鋭さを称賛され、WBCメンバーにも選出された。
 そのWBCでは、小久保監督から「先発4人構想のうちの1人」に名前を挙げられるなど期待は大きい。今年の春季キャンプでも順調に調整中。初戦のキューバ戦での先発プランも浮上している。果たす役割は大きい。

30 武田 翔太(福岡ソフトバンク)

 常勝ホークスの若きエース右腕。縦に割れる独特のカーブで打者を幻惑し、伸びのあるストレートでねじ伏せる。
 ドラフト1位でのプロ入りから順調な成長を遂げ、2014年11月の日米野球で侍ジャパン初選出。第4戦の救援登板を経て最終戦に先発すると、3回を4安打1失点(自責0)。2015年3月の欧州代表戦でも登板した後、同年11月のプレミア12では1次リーグのドミニカ共和国戦に先発し、4回を5安打無失点、4奪三振の好投。3位決定・メキシコ戦でも先発して3回を1安打無失点、3奪三振と抑え込むなど、2試合で防御率0.00と結果を残した。
 その後も侍ジャパン舞台で先発登板を続け、2016年3月の台湾戦では3回を1安打1失点(自責0)、同年11月の強化試合・メキシコ戦では4回を5安打1失点。今回は大谷翔平(日本ハム)の辞退での追加招集だが、その実力に疑いの余地はない。巡ってきたチャンス。“ラストサムライ”がWBC舞台で暴れ回る。

34 岡田 俊哉(中日)

 ドラフト1位入団から着実に成長し、結果も残してきた若きサウスポー。昨秋の強化試合でリリーフとして印象的な働きを見せてWBC切符も掴み取った。試合の流れを変えられる貴重な左腕だ。
 中学時代には筒香嘉智(DeNA)とともに世界大会に出場。智弁和歌山高では1年春からベンチ入りし、1年夏から3季連続で甲子園に出場。その後、ドラフト1位で中日入団して中継ぎで頭角を現し、2016年11月のオランダ・メキシコとの強化試合で侍ジャパン初選出。当初はそれほど大きな注目は浴びてはいなかったが、オランダとの第1戦の延長10回表に登板すると、タイブレークの無死1、2塁のピンチを無失点に抑える見事な投球を披露。その裏のサヨナラ勝ちに繋げ、お立ち台の上で笑顔を弾けさせた。
 この投球が評価されてのWBCメンバー入り。左腕という点も大きな魅力。初代表にも物怖じしないマウンド度胸で、再び日本に勝利を届ける。

35 牧田 和久(埼玉西武)

 先発、リリーフを問わずに力を発揮するサブマリン右腕。前回WBCでは抑えとして3試合に登板し、防御率0.00と好投。再び“世界斬り”に挑む。
 平成国際大時代に大学日本代表に選ばれて日米大学野球に出場。ドラフト2位で西武に入団すると、プロ1年目から結果を残して前回2013年の第3回WBCに出場。同大会回では抑え役として3試合に登板し、計3イニングを無失点に抑えて5奪三振の快投劇を披露した。小久保ジャパンでも2014年の日米野球で第3戦に救援登板してノーヒット・ノーラン・リレーに貢献すると、2015年11月のプレミア12では登板2試合1イニング1/3を無失点に抑えた。
 国際試合に対して滅法強く、投球テンポの良さも光る経験豊富な右腕。地面スレスレの位置から浮き上がるストレートは球速以上の威力を持つ。世界の中でも希少な下手投げの特性を最大限に生かして、今回も日本の勝利に貢献してくれるはずだ。

41 千賀 滉大(福岡ソフトバンク)

 育成入団からのし上がった本格派右腕。先発、リリーフともに適応可能で、威力抜群のストレートからの落差の大きい“お化けフォーク”で三振を奪う。
 育成4位指名でのプロ入りも、2年目の2012年4月に支配登録されて1軍デビュー。2013年には中継ぎで51試合に登板して防御率2.40。そして先発に転向した昨季はシーズン25試合に登板して12勝3敗、防御率2.61の好成績を残した。この活躍が評価されて2016年11月のメキシコ・オランダとの強化試合で侍ジャパン初選出され、メキシコとの第1戦に2番手で登板して3回を2安打3失点(自責2)、オランダとの第2戦ではリードを奪った後の延長10回裏に登板して1回を1安打2失点(自責0)。WBC球に制球を乱す場面もあったが、鋭いフォークで三振を奪うなど観客を大いに沸かせた。
 WBCでは第2先発も含めたリリーフでの起用が濃厚だが、自慢のフォークをWBC球でも操れるようならば抑えでも面白い。春季キャンプではしっかりと調整してきており、短期間でのさらなる成長にも期待できるだけに楽しみだ。

66 平野 佳寿(オリックス)

 経験豊富なリリーフ右腕。2011年に最優秀中継ぎ投手、2014年にはセーブ王に輝いた実績を持ち、イニングまたぎもいとわないスタミナと精神力も持つ。世界一奪還へ向けた重要な守護神候補なる。
 京都産業大から希望枠でオリックスに入団。プロ5年目の2010年に中継ぎに転向するとリリーフ投手としてブレイクし、翌2011年にはリーグ最多の72試合に登板して防御率1.94の安定感で43ホールドをマークして最優秀中継ぎ投手に輝いた。2012年の終盤からは抑え役を務め、2014年には40セーブでセーブ王のタイトルを獲得。プロ11年で通算491試合に登板して131ホールド&127セーブを挙げている。
 球界を代表するリリーバーとしての地位を確立する一方で侍ジャパンとは無縁だったが、WBCメンバー選考の中でその存在がクローズアップ。初召集にはなるが小久保ジャパンの課題の一つである抑え役として大きな期待を背負う。問題はWBC球への対応。そこさえクリアできれば非常に大きな戦力になるだろう。

捕手

22 小林 誠司(読売)

 強気のリードと強肩が魅力の秀才捕手。昨季の盗塁阻止率.356は断トツの12球団トップ。昨秋の強化試合でも実力をアピール。第3捕手として小久保ジャパンの世界一ロードをサポートする。
 日本生命からドラフト1位で巨人入り。プロ1年目に63試合、2年目に70試合出場すると、3年目の昨季は正捕手として129試合にスタメン出場。自慢の強肩で両リーグトップの盗塁阻止率.356をマークした。侍ジャパンには2014年11月の日米野球で初選出されて侍デビュー。その後、2015年3月の欧州代表戦、2016年11月のメキシコ・オランダとの強化試合メンバーにも選出。リード、キャッチングとまだ改善点はあることは確かだが、セ・リーグ球団所属では唯一の捕手として必要な戦力だ。
 WBC本大会では、エースとして期待される菅野智之(読売)とコンビを組んで先発出場する可能性もある。強敵撃破のカギを握る。

27 大野 奨太(北海道日本ハム)

 日本一チームの頼れる司令塔。リード、キャッチング、送球の守備面での高い能力に加え、昨年11月の強化試合でサヨナラ打を放つなど打撃面での勝負強さも光る。
 東洋大からドラフト1位で日本ハムに入団。プロ1年目から出場機会を掴み、2013年には両リーグトップの盗塁阻止率.421をマーク。昨季は109試合に出場し、投手陣を巧みにリードするとともに、バットでも打率.245ながら、5本塁打、35打点と勝負強さを見せた。
 侍ジャパンには2016年11月のメキシコ・オランダとの強化試合で初選出されると、初の日の丸ユニフォームにも侍投手陣を堂々とリードすると、オランダ戦では延長10回裏にライト前にサヨナラヒットを放ってお立ち台にも立った。
 昨季日本一の“勝てる”リードと意外性のあるバッティングに、日本ハムで選手会長兼主将を務めるリーダーシップにも期待。投手中心の守りの野球を目指す中で、大野を含めた捕手陣の果たすべき役割は非常に大きい。

37 嶋 基宏(東北楽天)

 球界随一の頭脳派捕手。類まれなリーダーシップでチームのまとめ役も担う。粘り強いバッティングも魅力の一つ。豊富な経験を世界一へと活かす。
 プロ4年目の2010年に規定打席に到達して打率.315を記録してベストナイン&ゴールデングラブ賞を受賞。2013年には不動の正捕手として投手陣をリードしながら134試合に出場し、バットでも48打点(打率.257、4本塁打)をマークして日本一に大きく貢献。侍ジャパンとしても、小久保ジャパン発足以降、2016年の台湾戦を除いて全シリーズに選出されるなど、首脳陣からの信頼は誰よりも厚い。同時に侍投手陣の特徴を誰よりも知っており、WBCでも扇の要、チームの要としての働きが期待される。
 春季キャンプでは右足の不調など下半身の張りで別メニュー調整が伝えられたが、2月19日には屋外でのフリー打撃を行って快音を響かせるなど調子は上向き。チーム一丸での世界一奪還へ、この男のリーダーシップが必要になる。

内野手

2 田中 広輔(広島東洋)

 昨季の広島旋風の立役者の一人である俊足巧打のリードオフマン兼遊撃手。追加招集でのメンバー入りで世界一に尽力する。
 東海大相模高から東海大へ進み、JR東日本へ入社。社会人時代の2013年には東アジア大会の日本代表メンバーにも選ばれた。プロ入り後は1年目から定位置を奪取し、2年目の2015年には141試合に出場し、打率.274、8本塁打、45打点。3年目の昨季は不動の「1番・遊撃手」として全143試合フルイニング出場を果たして打率.265、13本塁打、39打点に加えて、28盗塁と走塁面でも能力を発揮した。
 今回の侍ジャパン入りは、中島卓也(日本ハム)、今宮健太(ソフトバンク)の故障辞退によるもの。チーム事情を考えると、本職のショートだけでなく、サードでの途中出場も考えられる。守備、走塁だけでなく、昨季のCSファイナルステージ4試合で12打数10安打の打率.833、1本塁打、4打点と驚異的な勝負強さをWBC舞台でも発揮してもらいたい。

3 松田 宣浩(福岡ソフトバンク)

 パンチ力が光るクラッチヒッター。無類の勝負強さに加え、三塁&ベンチから大声を張り上げるムードメーカーとしても欠かせない存在。「熱男」としてチームを引っ張る。
 2006年のプロ入り以降、順調にステップアップし、2011年に全試合に出場して打率.282、25本塁打、83打点。2015年には打率.287、35本塁打、94打点をマークするなど球界を代表するスラッガーとしての地位を築いた。侍ジャパンとしては2013年の第3回WBCメンバーに選ばれ、主に「9番・三塁手」として7試合に出場。チームは準決勝で敗れたが、自身は21打数7安打の打率.333、1本塁打、5打点と活躍して自らの実力を証明して見せた。
 小久保ジャパンでも、若手中心で臨んだ2013年11月の台湾遠征以外は全シリーズに選出されて存在感を発揮。2015年11月のプレミア12では、8試合で24打数6安打の打率.250ながら2本塁打、7打点をマークして持ち前の勝負強さを発揮。経験と積極性に加え、強肩を生かした三塁守備にも期待。世界一奪還へのムードは、この男が作る。

4 菊池 涼介(広島東洋)

 縦横無尽なプレーで攻守においてチームに貢献する不出世の二塁手。守備範囲の広さは球界随一。昨季は打撃絶好調でリーグ最多安打を記録。今度は世界を舞台に暴れ回る。
 プロ2年目の2013年に二塁手のレギュラーに定着。翌2014年には打率.325&23盗塁をマークするとともに、自身が前年に記録した二塁手のシーズン補殺数の日本記録を更新。プロ5年目の昨季はチームが快進撃を続ける中、自身も打率.315、13本塁打、56打点、13盗塁の好成績で、リーグ最多安打(181安打)のタイトルも獲得した。
 侍ジャパンには2013年11月の台湾遠征で初召集。2014年11月の日米野球では打率.381(21打数8安打)の高打率を残すとともに、規格外の広い守備範囲がMLB公式サイトでも紹介され「忍者だ!」と絶賛された。2015年のプレミア12ではメンバー外となったが、2016年は春の台湾戦、秋のメキシコ・オランダ戦に出場。昨季の活躍もあってWBCメンバーにも文句なしで選出された。同じ二塁手には2年連続トリプルスリーの山田哲人(ヤクルト)がいるが、打撃面に加えて守備でチームを救えるのはこの男の方だろう。

6 坂本 勇人(読売)

 進化を遂げた天才遊撃手。プロ10年目の今季は打率.344で自身初の首位打者に輝くとともに初のゴールデングラブ賞も受賞。侍ジャパンでも不動の存在だ。
 高卒2年目の2008年から不動のレギュラーとして活躍。2012年11月のキューバ戦で初の代表入りを果たすと、2013年の第3回WBCでは6試合で25打数6安打の打率.240ながら満塁本塁打を放つなど1本塁打、6打点をマーク。小久保ジャパン発足後もメンバーに名を連ね、2013年のプレミア12では8試合で30打数6安打の打率.200、1本塁打、6打点。ポテンシャルを考えるとやや大人しい数字が並んでいたが、所属チームの主将に就任して2年目の昨季は、開幕から好調をキープして打率.344で首位打者、出塁率.433で最高出塁率のタイトルを獲得して、23本塁打&75打点と大きく進化。守備面でも従来の華麗さに安定感をアップさせて自身初のゴールデングラブ賞を受賞した。
 今年の春季キャンプでは“球界ナンバーワン遊撃手”の風格タップリで、2月19日に行われたWBC韓国代表との練習試合では2点タイムリー2塁打をマーク。天性の打撃センスに磨きをかけ、世界一奪還の旗手となるべく準備を整えている。

13 中田 翔(北海道日本ハム)

 豪快なスイングで大飛球を放つ侍ジャパンの主砲。一発長打のみならず、チャンスではチームバッティングに徹し、昨季は自己最多の110打点で2度目の打点王に輝いた。
 高校通算87本塁打、「平成の怪物」としてプロ入りすると、高卒4年目の2011年にレギュラーを獲得。翌2012年以降は不動の4番として多くのアーチと打点を積み重ねた。前回2013年の第3回WBCにも出場し、「7番・レフト」で6試合に出場して21打数6安打の打率.286。小久保ジャパンでは4番として大きな期待を背負って全シリーズで招集されて出場。2015年11月のプレミア12では打順を5番、6番に下げ、打率.429(28打数12安打)、3本塁打、15打点と大爆発した。
 春季キャンプでは左手首痛を発症して調整の遅れが心配されるが、日に日に回復しており本番では問題なし。前回のWBCではノーアーチだっただけに、今大会では豪快な一発を是非とも放ちたい。中田が打てば、チームは必ず勢いづく。

23 山田 哲人(東京ヤクルト)

 史上初の2年連続トリプルスリーを達成した現役最強の5ツールプレイヤー。現在24歳とまだ成長過程。世界舞台で爆発し、さらなる進化を遂げる。
 高卒1年目からCSに出場、プロ4年目の2014年に日本人右打者のシーズン最多安打記録を更新する打率.324をマークして、29本塁打、89打点、15盗塁の成績を残すと、翌2015年に打率.329、38本塁打、100打点、34盗塁、2016年にも打率.304、38本塁打、102打点、30盗塁と2年連続のトリプルスリーを達成。侍ジャパンにも2014年11月の日米野球からメンバーに名を連ね、同シリーズでは13打数3安打の打率.230の低打率も、2015年のプレミア12では8試合に出場して26打数10安打の打率.308、2本塁打、1盗塁をマークした。
 2016年11月のメキシコ・オランダとの強化試合では再び鳴りを潜めたが、その驚異的なスイングスピードは健在。今年の春季キャンプではWBC球での練習を重ねて準備を整えている。本大会では「二塁」もしくは「DH」での出場が濃厚。どの役割、どの打順でも日本のために攻め続ける。

外野手

1 内川 聖一(福岡ソフトバンク)

 球界随一のミート力で広角にヒットを放つ安打製造機。08年にマークした打率.378は右打者の史上最高打率。7年連続打率3割も記録した。前回大会のリベンジを誓う。
 2008年に右打者歴代最高の打率.378をマークし、2008年&2011年と史上2人目となるセ・パ両リーグでの首位打者を獲得。7年連続での打率3割を達成するなど、プロ入り以降類まれな打撃センスでヒットを重ね、侍ジャパンとしても2009年の第2回WBCでは計6試合に出場して18打数6安打の打率.333、1本塁打、4打点の打撃面とともに、決勝・韓国戦でレフトからの好送球で試合の流れを変える好プレーを見せて各方面から絶賛された。
 2013年の第3回WBCにも出場し、6試合で23打数8安打の打率.348、1本塁打、4打点と活躍したが、準決勝・プエルトリコ戦では痛恨の走塁ミスを犯して悔し涙を流した。小久保ジャパンにもコンスタントに選出されてきたが、常に頭の中にあるのは前回大会のリベンジへの想いだ。打線のポイントゲッターとして、そして前回優勝を知る数少ない選手として、日本に勝利と歓喜を届ける。

7 青木 宣親(アストロズ)

 NPBで年間200安打を2度成し遂げた安打製造機。2度の世界制覇経験者、そして唯一の日本人メジャーリーガーとしてWBCに参戦する。
 日本では2005年(202安打)と2010年(209安打)にNPB史上初の2度のシーズン200安打を達成。新人王、首位打者、盗塁王など数々のタイトルを獲得。2011年オフにポスティングシステムを用いてメジャー移籍を果たして以降は、4球団を渡り歩いて2014年にはロイヤルズのリードオフマンとして球団29年ぶりのワールド・シリーズ進出に貢献した。侍ジャパンとしては、2006年の第1回WBC(6試合で5打数1安打)、2009年の第2回WBC(9試合で37打数12安打)と出場し、特に第2回WBCでは打率.324、7打点の好成績で打線を引っ張り、大会ベストナインにも選ばれる活躍を見せた。
 自身3度目のWBCは、チーム最年長としての立場にもなる。日本人としての自身のアイデンティティも問う戦い。今季から加入したメジャー5球団目のアストロズのキャンプを切り上げての途中加入になるが、2度の優勝と海外でのプレー、対戦選手の情報も知るこの男の存在は、非常に頼りになる。

8 平田 良介(中日)

 パワーとスピードを兼ね備えた右の強打者。強肩を含めた外野守備もトップレベル。15年秋のプレミア12では26打数11安打と国際舞台での勝負強さを見せ付けた。再爆発に期待したい。
 昨季は打率.248、14本塁打、73打点。プロ6年目の2011年に11本塁打を放って以降6年連続で2ケタ本塁打をマークした。打率は決して高くはないがチャンスでの勝負強さがこの男の真骨頂で、昨季も得点圏打率.353を誇った。小久保ジャパンには2013年の台湾遠征に続き、2015年11月のプレミア12に選出されて計8試合(スタメン7試合)で26打数11安打の打率.423、6打点と大活躍。本塁打こそなかったが、2塁打3本に3塁打1本と長打力&スピードを国際舞台で見せ付けた。
 外野陣は多士済々の面々が揃い、現状ではスーパーサブとしての扱いになるが、勝負強さはピカ一で必ず出番はやってくる。春季キャンプでは飛距離アップに取り組みながらWBCでの大暴れを誓う。

25 筒香 嘉智(横浜DeNA)

 凄みを増す和製大砲。年々進化を続けてきた中で、今季は44本塁打&110打点で2冠王に輝き、自らの地位を不動のものにした。左打席からの驚弾が、今度は世界舞台で炸裂する。
 中学時代に世界大会に出場し、横浜高で「ハマのゴジラ」として名を高めて2009年のAAA世界選手権にも出場。プロ入り後も年々スケールアップを続け、2015年に打率.317、24本塁打、93打点の成績を残すと、高卒7年目の昨季は、打率.322、44本塁打、110打点で本塁打王&打点王の2冠を獲得。リーグトップの得点圏打率.393の勝負強さも光った。
 小久保ジャパンには2014年の日米野球で初選出され、出番こそ少なかったが8打数3安打と結果を残すと、以降もメンバー入りを続けると、2015年11月のプレミア12では8試合で26打数10安打の打率.385。決勝ラウンド以降の3試合は4番に座り、本塁打こそなかったが、計9四球で出塁率.534でチームの勝利に貢献した。
 プレミア12でさらに評価を高めたが、敗れた準決勝・韓国戦では4打数無安打と期待に応えることはできなかった。4番としてのこだわりよりもチームの勝利を優先。この男の一撃が、世界一への号砲となる。

51 鈴木 誠也(広島東洋)

 高卒4年目の昨季、打率.335、29本塁打、95打点をマークして一躍スターダムにのし上がった“神ってる”男。自身初代表となった昨年11月の強化試合でも満塁弾を放つなど存在感を見せた。
 プロ2年目の2014年には、第1回21Uワールドカップでは打率.423と活躍して大会ベストナインにも選ばれる活躍を披露。翌2015年に97試合に出場して打率.275、本塁打5、打点25の“予感”を漂わせると、高卒4年目の昨季、6月に2試合連続サヨナラホームランを放つなど“神ってる”活躍を続けて、打率.335、29本塁打、95打点、16盗塁の大暴れ。シーズン終了後のオランダ・メキシコとの強化試合で侍ジャパン初召集を受けると、最終戦となったオランダ戦の延長10回に左中間へ勝ち越しとなる豪快な満塁本塁打を放ってみせた。
 力強いスイングだけでなく、スピード&強肩も大きな武器。オフには内川聖一(ソフトバンク)と自主トレを行い、春季キャンプでも地に足を付けて調整を続けている。怖いものはない。野手最年少の23歳が、世界舞台で大暴れする。

55 秋山 翔吾(埼玉西武)

 左打席から巧みなバットコントロールを見せるヒットメーカー。15年には日本最多記録となるシーズン216安打をマークした。昨年11月の強化試合でも猛アピールした。
 小久保ジャパンの初陣となった2013年の台湾遠征で代表初召集。俊足巧打から打撃開眼した2015年のシーズン終了後にはプレミア12に参戦し、8試合に出場して35打数9安打の打率.257。思うような成績は残せなかったが、2016年3月の台湾戦に続いて選ばれた同年11月のメキシコ・オランダとの強化試合では、メキシコとの第2戦で「9番・センター」で出場して3安打4打点の大活躍。続くオランダ戦には「1番・センター」で2安打をマーク。センターの守備でも好プレーを見せ、自らが侍ジャパンにおいても重要な戦力であることを改めて認識させた。
 自身初のWBCでは外野の一角として期待される。その巧みなバットコントロールだけでなく、守備、走塁面も世界舞台で大きな武器になる。