WBC1次ラウンド プールBチーム紹介 ~キューバ代表”赤い彗星の逆襲"は日本の地から~
「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 」(以下、WBC)東京ドームでの1次ラウンドプールBを日本と共に戦うキューバ。中南米のみならず世界の野球界に「赤い彗星」として名を馳せる彼らの近年と、ベールが解かれつつある今大会の戦力を探る。
まだアマチュア中心に世界大会の道が開けていた時、「世界最強」の星は常にカリブ海に浮かぶ島国・赤いユニフォームを身にまとった「野球大国」キューバの頭上に輝いていた。
1938年創設のIBAFワールドカップ(2011年で廃止)では9連覇1度・5連覇1度を含む出場39回中25回優勝。1973年創設のインターコンチネンタルカップ(2010年で廃止)は出場13回中7連覇1度含む11回優勝。オリンピックも過去、正式競技となった5大会中3大会(1992年バルセロナ、1996年アトランタ、2004年アテネ)で金メダル獲得。残る2大会(2000年シドニー、2008年北京)でも銀メダルと、決勝進出を一度も外していない。
ただ、WBCに焦点を絞ると、彼らは屈辱の歴史を刻んでいる。2009年の第1回大会では決勝戦で日本に敗れ初代王座を逃すと、第2回大会では2次ラウンドで日本に連敗し決勝ラウンドに進めず。第3回大会では1次ラウンドで日本に勝利し1位で2次ラウンド進出も2次ラウンドでオランダに連敗し、またしても決勝トーナメント進出を果たせず。一昨年開催の「WBSCプレミア12」では6位に終わるなど、WBSCランキング5位も満足感はまるでない。
すなわち、今大会はキューバにとって8年間に渡った苦難の時期を振り払う絶好の機会。その時に向けてチームも着々と強化を進めてきた。昨年は6月に2004年アテネ五輪金メダリスト、2006年WBCも経験したかつての名捕手であるロヘル・マチャド氏が新監督に就任。北米独立リーグ「カナディアン・アメリカンリーグ」に約1カ月参戦し、同時期に参戦していた日本の独立リーグ・四国アイランドリーグplus選抜チームとも交流戦を開催。この交流戦では全力疾走と小技を絡めて接戦を制し、さる2月20日にはチャイニーズ・タイペイ代表とも敵地で親善試合を戦い6対2で快勝。「アジア・日本スタイル」への対応へも余念がない。
今回のメンバーは全員が国内リーグ所属だが、キューバ代表不動の4番、アルフレド・デスパイネ外野手(アラサネス・デ・グランマ)はNPBでもおなじみ。3年間、千葉ロッテに派遣された際は主軸を張って昨年139安打・24本塁打・92打点で打率.280。今季は福岡ソフトバンクに戦いの場を移す。
また、昨年の国内リーグでは、ヨスバニ・アラルコン捕手(レニャドレス・デ・ラス・トゥーナス)、ウィリアム・サーベドラ内野手(ベゲーロス・デ・ピナール・デル・リオ)が3割・二けた本塁打以上をマーク。3割・二けた本塁打、20盗塁以上をマークしているユリスベス・グラシアル内野手(ココドゥリロス・デ・マタンサス)を加えた3人がどの打順に配されるかが最初の注目点だ。
そして今大会ではもう1人、日本でもプレーした2004年アテネ五輪金メダリストも復活を遂げる。現在はフリーエージェント中のフレデリク・セベタ外野手。2014年から2年間は巨人に派遣されたスイッチヒッターは、36歳のチーム最年長選手。豊富な経験を若いチームに注ぐ覚悟だ。
一方の投手陣はキューバ国内リーグでも実績十分の両右腕、ブラディミール・ガルシア(ティグレス・デ・シエゴ・デ・アビラ)と、フレディ・アルバレス(ナランハス・デ・ビジャ・クララ)を軸に、左腕のリバン・ モイネロ(ベゲロス・デ・ピナール・デル・リオ)で締める形になりそう。
注目は20歳のライデル・マルティネス投手(ベゲーロス・デ・ピナール・デル・リオ)。150キロの角度あるストレートは、大会の隠し玉になりえるだろう。
侍ジャパンと同様にキューバ代表も狙うは1つ「世界一奪還」。1次リーグプールBでは日本・中国・オーストラリアの順で対戦する彼らにとって、3月7日(火)19時から東京ドームで対戦する侍ジャパンとの初戦は、「赤い彗星の逆襲」をかけた大一番となる。
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