韓国が代表28名を発表 経験豊富な面々が揃う
文・写真=室井昌也
昨年11月に行われた「世界野球WBSCプレミア12」。侍ジャパントップチームは優勝を目指すも3位で大会を終えた。届かなかった初代王者の座。その座についたのは準決勝・日本戦で9回表に4点を挙げて逆転勝ちし、決勝でもアメリカを下した韓国だった。
来年3月の「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(WBC)で世界一奪還と3度目の優勝を目指す侍ジャパン。その目標に向けて越えなければならない壁、その一つが韓国だ。
先発投手は韓国が誇る「左腕カルテット」
韓国はWBCに向けて11月10日に代表メンバー28人を発表した。その顔ぶれは15人がプレミア12に出場した選手で、今回初めて代表入りしたのは7人のみ。経験豊富な面々が揃っている。
その戦力は投手陣では先発候補の「左腕カルテット」が目を引く。北京五輪、2009年のWBCに続き、プレミア12でも日本戦に先発登板したキム・グァンヒョン(SK)、プレミア12でも代表入りしたチャン・ウォンジュン(トゥサン)とチャ・ウチャン(サムスン)。そして2009年の日韓クラブチャンピオンシップで巨人相手に先発したヤン・ヒョンジョン(KIA)の4人だ。いずれも今季10勝以上を挙げ、チームのエースとして君臨している。
4人のサウスポーに加えて先発を任されるのが、今季まで千葉ロッテでプレーし、今後は軍入隊が予定されているイ・デウンと、アンダースローのウ・ギュミン(LG)の右投手2人だ。またリリーフ陣はシーズン中、クローザーを務めた面々を中心に構成され、その中には元東京ヤクルトのイム・チャンヨン(KIA)も含まれている。
メジャーを知る4人を擁し、人材豊富な打撃陣
野手陣には国際舞台を知り尽くした強者が並ぶ。打線の中軸を担うのは、プレミア12準決勝で決勝打を放った元福岡ソフトバンクのイ・デホ(マリナーズ)、プレミア12で韓国戦に先発した大谷翔平(北海道日本ハム)が「いい打者だと思った」と印象を話し、160キロ台の速球を続けて投げ込んだキム・ヒョンス(オリオールズ)。そして2009年WBCで大会トップの打点、本塁打を記録し、翌年千葉ロッテでプレーしたキム・テギュン(ハンファ)らとなる。またカン・ジョンホ(パイレーツ)、チュ・シンス(レンジャーズ)も代表に名を連ね、今季メジャーでプレーした4人がエントリーされている。
彼らの前を打つのが代表チーム常連の小兵コンビ、イ・ヨンギュとチョン・グンウ(ともにハンファ)だ。この他に今季、首位打者と打点王の二冠を手にした外野手のチェ・ヒョンウ(サムスン)や、2014年に韓国初のシーズン200安打を達成した二塁手のソ・ゴンチャン(ネクセン)などが控えに回るという贅沢な選手構成となっている。
故障者とFA組の動向が不安要素
盤石に見える韓国だが不安要素はある。プレミア12に続き指揮を執るキム・インシク監督は「信頼できる右投手がいない」と問題点を挙げる。また、現在エントリーされているメンバーの中から離脱者の可能性も出てきた。クローザーのイ・ヨンチャン(トゥサン)は今オフに右ひじの遊離軟骨除去手術を予定。正二塁手のチョン・グンウも左膝内側半月板の軟骨損傷により今月手術を行うからだ。
加えて今回のメンバーにはFA宣言をしている選手が多く含まれ、キム・グァンヒョン、ヤン・ヒョンジョン、チャ・ウチャン、ウ・ギュミン、チェ・ヒョンウの5人にはメジャーリーグ事務局から身分照会が行われている。もしメジャー行きとなった場合、所属先や契約内容によってはWBC出場が認められないケースも生じるだろう。
目前の敵はオランダ。その難関を越えると…
韓国は1次ラウンドでオランダ、チャイニーズタイペイ、イスラエルと同じ組で戦う。4チームの中から上位2チームに入らなければ、日本が待つであろう東京ドームでの2次ラウンドに進むことは出来ない。2013年の前回大会で2次ラウンド進出を逃している韓国としては、前回敗れたオランダが目前の敵だ。そのオランダと侍ジャパンの強化試合を視察したイ・スンチョル打撃コーチはオランダ打線を「予想以上に強力」と言い、ソン・ジンウ投手コーチは「長打がある」と警戒感を口にした。
最強メンバーが名を連ねるも出場可否の問題を抱えた韓国。加えて激戦が予想される1次ラウンドの突破が韓国の最初のハードルだ。その難関を越えて2次ラウンドに姿を見せた韓国は、侍ジャパンにとって脅威となるのは間違いない。
(情報は11月19日時点のもの)
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